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火の鳥はね、単なる仏教的な輪廻の感覚と古典演劇におけるスターシステムを融合させただけでして、アレを漫画という手段でやった功績はとても大きいけど昨今の作品と比較するととても素朴な構造だよ。
日本においてそれ系の表現の極北は円城塔なんですけど、彼の作品は多分読者の9割くらいを置いてけぼりにするので、少年誌らしく楽しめつつも十分に複雑な世界を提示して、読者に対して想像の余地も残してるチェンソーマンはかなり曲芸じみた事をやり遂げてるという感じです。
チェンソーマンは少年誌によくあるバトル漫画のフリをしてはいるけど、実際のところ藤本タツキが自分の考えた時間や世界や可能性のあり方を楽しむ作品だと思ってます。そこまで複雑な理を考えたにも関わらず工芸品のように全部を見せていくのではなくて、必要な所以外は何も語らない潔さも良い。
あとチェンソーマンの世界で失われた様々な存在が示唆されているのも良かったね。マキマがそれを明示したことで、現実と比較してあの世界が失ったであろう様々な物が浮かび上がるのはよい仕掛けだと思った。
僕が感じたチェンソーマンの魅力は物語の構造そのものが楽しいところかなー。藤本タツキ作品は概ねそうなんだけど。チェンソーマンは明らかに複数の世界線(もしくはループ)を並行して描いてるのが良かった。あとは映画や名画へのオマージュ的な構図がたまにあってニンマリ出来たり。