ふと、女性に花の名前を付けることは珍しくないけど、男性に花の名前を付けることって多くないことに気づく。諺でもそう。女性を花に喩えたものは数多くあれど、男性を花に喩えたものでは「好いた水仙、好かれた柳」ぐらいしか思いつかない。
ということで以下、ちょっと調べてみる。
女性を花に喩える文化は奈良時代にはすでに存在していた模様。
現存する最古の和歌集として知られている『万葉集』に、「我が里に今咲く花のをみなへし堪へぬ心になほ恋ひにけり(第10巻, 2279)」ほか、多数の和歌が収められていることが確認できた。
一方で、男性を花に喩えている例も少ないながらも見つかった。「朝ごとに我が見る宿のなでしこの花にも君はありこせぬかも(万葉集, 第8巻, 1616)」「うら恋し我が背の君はなでしこが花にもがもな朝な朝な見む(万葉集, 第17巻, 4010)」という和歌。どちらも大伴家持に贈られたもののよう。
古の日本においては「男は松、女は藤」であることが是とされてきたであろうことは言わずもがな、それでも男性に対してある種の嫋やかさを見出しているかのような機微が滲み出た和歌が残っていることはとても興味深い。
※参考※